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Report: 修善寺の湯汲み式に行ってきました
4月21日、修禅寺(静岡県伊豆市)で行われた「湯汲み式」に行ってきました。修善寺温泉で知られたところですね。「湯汲み式」は地元の人に「春のお弘法さん」と呼ばれ親しまれている春季弘法忌の行事の1つです。弘法大師(空海)の命日は3月21日といわれていますが、修禅寺では旧暦を用いて毎年4月20日と21日の2日間にわたって弘法忌が行われています。
20日には秘仏である弘法大師像を乗せた御輿の渡御が行われ、奥の院までの4.6キロの道程を「お上り」し、21日午後には「お下り」してきます。また、20日夜には、空海が高野山金剛峯寺にて「万燈万華会(まんどうまんげえ)」を修したことにちなんだ「万燈会」が平成5年から前住職田中徳潤老師によって始められたそうです。(参考:総本山金剛峯寺公式サイト)
「万燈会」はロウソクを持った僧侶と参列者が独鈷の湯(とっこのゆ)公園から桂川にかかる虎渓橋(こけいきょう)を渡り、修禅寺本堂まで厳かに歩くという行事です。8月20日、21日にも秋季弘法忌が開催されます。(修禅寺公式サイト 春季弘法 秋季弘法忌)
筆者は13時30分のパレード出発ギリギリに修善寺温泉駅(バス停)に到着。見物の人が大勢いましたが、行列は境内で待機していました。
修禅寺の正式名称は福地山修禅萬安禅寺(ふくちざんしゅぜんばんなんぜんじ)です。現在は曹洞宗の寺院となっていますが、元は真言宗の寺院で、鎌倉時代に臨済宗に改宗、室町時代に曹洞宗に改宗され現在に至っています。
山門前の階段の下でパレード開始を待っていると、間もなく横笛の音色とともに行列が下りてきました。門前の道路を横切って虎渓橋(こけいきょう)を渡り、温泉街の東側へ進んで渡月橋を渡ると再びお寺の前まで戻ってきます。パレードは総勢約250人、“湯汲み娘”は33名の参加だったとのことです。
行列先頭。
虎渓橋を渡る「湯汲み娘」。ピンクと赤がとても華やかです。
渡月橋を渡る稚児行列。
修善寺温泉は弘法大師が温泉を湧出させたことが由来と伝えられています。この日湯汲み式の行われる独鈷の湯は入浴禁止となっていますが、かつては街の公共浴場だったそうです。
今から1200年ほど前、この地を訪れていた弘法大師が河原の冷たい水で病気の父親の背中を洗っていた孝行息子を見て、密教法具である独鈷杵で河原の岩を打って温泉を湧出させたことから独鈷の湯と呼ばれているそうです。それ以来温泉街として栄えたことを弘法大師に感謝する意を込めて、湯汲み式を行うようになったとのこと。(参照:伊豆市観光ガイド)
パレードはお寺の前を通り過ぎて独鈷の湯へと向かいます。筆者の見た限りですが、行列先頭から僧侶、横笛、太鼓、旗を持った護持会役員や旅館主人(と思われます)、稚児、湯汲み娘、僧侶と続いているようです。パレードの全行程は次の通りです。
本堂(13:30出発)-虎渓橋-温泉街の道(東側)-渡月橋-お寺前の道路-独鈷の湯(湯汲み式)-桂橋-竹林の小径-温泉街の道(西側。ここから御輿の行列、御詠歌講員、子供たちと合流)-独鈷の湯公園(弘法大師御開帳)-虎渓橋-修禅寺本堂(お湯を大師霊前に奉納、祈祷)-本堂にて解散(16:00頃)
修禅寺周辺地図 修善寺温泉散策コースマップ
僧侶に続いて湯汲み娘が独鈷の湯に下りて行きます。春らしい和服に赤いたすき姿の湯汲み娘は僧侶が読経しながら汲んだお湯を桶に受け、温泉街をパレードしてお寺の本堂で大師の霊前に奉納するまで大事に運んで行きます。使用されている木の桶は昭和12年に作られたものだそうです。
独鈷の湯へ降りて行きます。
読経の中、僧侶が湯を汲んでいますが、これ以上近くに寄れず湯汲み娘が見えません。
湯汲み娘になると良縁に恵まれるとか。湯汲み娘は自薦他薦を問わないそうです。良縁を求める若い女性には良いチャンスかもしれませんね。
「独鈷の湯」全景。虎渓橋にもたくさんの観客がいます。
初々しいですね。良縁に恵まれますように!
桂川に沿った小径を進みます。
先頭は桂橋の上で、湯汲み娘と稚児たちは歴史ある旅館の前で僧侶の到着を待ちます。独鈷の湯から上がってきた僧侶が先頭に戻るとパレードが動き出しました。
稚児さんも華やかな衣装です。
狭い小径に人がいっぱいです。
路地から先回りして行ってみると、湯汲み式の行列とは別の行列が遠くからこちらへ向かってきました。どうやら御輿の行列のようです。「南無大師遍照金剛」という1人の僧侶の大きな声とともに近付いてきます。
遠くからやってくる御輿の行列を見て、なぜか感動してしまいました。
2つの行列が合流するようです。太鼓も2つになりました。
稚児がやってきました。目の前の子供たちが気になりますね。
にこやかな僧侶が子供たちの前にやってきて、君たちがいないとダメだとか言っていました。ここまでの行列に元気な掛け声が足りなかったのだと思われます。
奥の院から「お下り」してきた御輿です。内部には秘仏の大師像が安置されています。観客だと思っていた子供たちも行列の一員だったようで、パレードに合流して「なーむだ-いしへんじょうこんごう」の大合唱が始まりました。歌のような独特の節回しで、元気な子供たちの声が響き渡ります。
白装束が眩しいですね。
音頭をとる僧侶の様子に筆者もつい笑顔になってしまいました。
お湯を大事に運ぶ「湯汲み娘」さん。
御詠歌講員さんでしょうか。鈴がかわいらしい音色を奏でています。
料理人の姿も見えます。あまり目立たなかったのですが、独鈷の湯の横で桂川に鮎を放流していたそうです。
独鈷の湯公園に着くと御輿が下ろされ、厨子のとばりが開かれました。行列の先頭から順に焼香、拝観、その後僧侶に声をかけられて一般の人々も焼香しました。拝観が終わり、とばりが閉められると再び御輿が担がれ、虎渓橋を渡ってお寺の本堂へ向かいます。
秘仏である弘法大師像が見えますが、“お顔”は見えません。
帯は縞々だったのですね。
せっかくなので筆者も列に並びます。
重そうですね。
先頭が山門をくぐりました。
前列右側が御輿行列の先頭で“南無大師遍照金剛”と大きな声で唱え続けていた僧侶です。
御輿がお寺の階段を上ります。
山門をくぐるのが大変そうです。
僧侶に続き大きな御輿が無事本堂に入っていきました。「お上り」と「お下り」2日間で9キロ以上の行程です。湯汲み娘もお湯の入った桶を持って本堂へ。しばらくすると大般若祈祷が始まりました。祈祷では僧侶の振る“経本の風”にあたると無病息災といわれています。
本当にお疲れ様でした。
本堂内左手には僧侶、右手には湯汲み娘が座っているようです。“経本の風”は筆者まで届かず。
本堂手前左側には檀信徒会館があります。本堂の左手には本日の主役でもある弘法大師像が。
檀信徒会館です。
こちらは弘法大師像。
昨年、発見されたという青龍の彫物。残念ながら写真がボケています(泣)。寺務所売店で聞いたら見せてくれました。奥の院の押入れから見つかったそうです。(参考:伊豆新聞ニュース)」
水屋。温泉の湯が流れています。飲んでみたら無味無臭の口当たりの良いお湯でした。
30分ほど待ったでしょうか。祈祷が終了したらしく、湯汲み娘や旅館の主人らしき人が1人2人と本堂から出てきます。
最後の湯汲み娘さんたちが帰って行きます。
新緑の美しい季節、心が温かくなる行事でした。
取材:熊谷風実花
(おまけ)
修善寺温泉へ行くにはJR三島駅で伊豆箱根鉄道に乗換えますが、三島駅はJR東海に属するためSuica、PASMOなどのカードでは下車も乗換えもできず、最初に乗車した駅からすべて現金清算となります。泣く泣く熱海へ戻った筆者のような失敗はしないように気をつけましょう。
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