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Report: せんとくんも登場、元興寺の節分会に行って来ました
奈良の中心部、『ならまち(奈良町)』にある元興寺(奈良市中院町)で2月3日に節分会が行われるということで行って来ました。元興寺は真言律宗の寺院で、平成10年にはユネスコの世界文化遺産「古都奈良の文化財」のひとつとして登録されています。
元興寺の前身は、蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の本格的仏教寺院である飛鳥寺(法興寺)です。平城遷都により飛鳥からこの地に新築移建されたということです。
実は元興寺のある、この『ならまち』、地域の呼び名で町名ではありません。奈良公園の近く、江戸時代以降に建てられた町家が並ぶあたりで、現代風に改築したカフェや雑貨店なども点在し、休日にはデートや観光客などのお洒落な散策スポットになっています。
節分会当日のスケジュール
平成24年2月3日 正午12時頃から16時頃まで
12:00~ 極楽堂内 法要
特別祈願
お練り
13:00~ 境内 柴灯大護摩供
火渡り秘供
15:00~ 舞台 豆まき
国宝の「極楽坊本堂(極楽堂)」です。柴灯大護摩の準備ができていますね。ここで節分会が行われます。
奈良でも元興寺の節分会は特に人気があるようです。元興寺が鬼と深い関わりがあることがその理由の一つかもしれません。元興寺には、元興神(がごぜ)と呼ばれる強い鬼についての言い伝えがあります。元は雷の申し子である道場法師が元興寺にはびこっていた悪鬼を退治して、ガゴゼ、あるいはガゴジと呼ばれる鬼神のような存在になっていったそうです。このお寺での鬼というのはこの元興神、つまり悪霊等を追い払う善い鬼のことを指すようです。そのため豆まきでは「鬼は外」の代わりに「鬼は内」と叫びます。
通常であれば受付で拝観料を払いますが、この日は無料開放。東大寺西南院から移されたという重要文化財の東門前にしつらえたテントが受付です。柴灯大護摩による除厄祈願を希望する人は500円の護摩木を購入し、「家内安全」など祈願内容を記入します。火渡り秘供に参加する人は火渡りの札を買います。
こちらの御札は火渡り秘供の際に手に掲げるものです。
境内には鬼瓦などあちこちにマスコットのような鬼の像があります。
11時頃から一般参加者が集まってきました。前日は20年ぶりの寒波とかで震え上がる寒さだったのですが、3日は少し気温も上がり天気もよく、平日でしたがお客さんの入りもまずまずのようです。
12時から国宝の極楽堂において僧侶の方々が入堂。
極楽堂の浪切不動明王立像と宝山湛海不動尊の宝前で法要と不動法を修する特別祈願が執り行われました。
引き続いては「お練り」。ほら貝を吹き流しながら、4人の山伏行者さん達が東門から登場し境内を練り歩きます。続くは古武道を奉納する十数名ほどの聴風館道場の方々。
法要を終えた僧侶の方々が着席し、日本最古の柔術である竹内流を現代に伝える聴風館道場の方々により古武道演武が披露されます。スケジュールには載っていませんでしたが、例年この古武道奉納は行われるようです。数人の女性も含めた凛々しく迫力のある演武に圧倒されます。奉納された古武道は居合、棒術、剣術、小具足など。
ほら貝が吹き鳴らされて、星祭・厄除け・招福祈願の柴灯大護摩供が始まりました。山伏のメンバーは、別格本山元山上千光寺の大塚静遍導師と山伏行者衆。最初に宝弓の儀といわれる儀式が行われ、行者が6点に向って破魔矢を放ち、結界を張ります。
元興寺の辻村住職による経典の読み上げがあり、その後ヒノキの生木の枝葉で覆った護摩壇に点火されます。
炎の中に不動明王を勧進し祈願します。ものすごい煙が立ち上がってきました。風向きが筆者のいる方向に変わり、何も見えない状態になりました。
願いを書いた護摩木を投入し不動明王の炎で焼き尽くすことにより願いを叶えるそうです。気づくとダウンジャケットに穴が…。
炎の治まった護摩壇をくずし、火生三昧・火渡り秘供(かしょうざんまい・ひわたりひく)の火床を作ります。火生三昧・火渡り秘供とは、不動明王の炎に入ることで勧進した不動明王の世界に入り一体化し、今まで犯してきた大なり小なりの罪を滅し、生まれ変わって出てくるという荒行だそうです。
500円で火渡りの御札を買った参加者はこのように裸足で並びます。女性が多かったように思います。
およそ百数十人ほどが火渡り秘供をされたのではないでしょうか。さぞかし熱いだろうと思いましたが、後で参加された人に聞くとそんなに熱くなかったそうです。
また、火渡り秘供に先立ち、導師が皆に呼びかけ、東日本大震災の犠牲者に対し黙祷を捧げました。「寒い」「熱い」「煙たい」等の感情も、生きている実感を感じさせてくれる有り難いものなのだと。
午後3時からは舞台で豆まきです。数百人はいたでしょうか。大勢が極楽堂横に設けられた舞台に押し寄せます。「福はうち~」「鬼はうち~」の掛け声と共に、年男、年女、留学生、僧侶の方々30人ほど。そしてせんとくんまでもが登場しました。撒かれたのは「元興寺福豆」。ちゃっかり袋持参の人もいます。舞台の上下でお客さんと住職さんが会話するなどアットホームな雰囲気です。団体ツアー客いらっしゃいます。近くに居た人が言うには、ここは近くからそれも袋に入った豆を撒いてくれるので、安全で豆ももらいやすくて良いとのこと。昔はこの福豆に加えてイワシの生魚も配っていたそうですが、さすがに今は衛生面も考慮して中止になっているそうです。
およそ1時間ほどで豆まきは終了。福豆袋にはキャンディー1個と100粒ほど豆が入っています。一人だいたい3袋はもらえたのではないでしょうか。なお、元興寺では子供さん、高齢者などには別に手渡しで福豆を渡すという気配りがなされています。帽子を揃えた幼稚園児らしき団体も、手渡しの福豆をもらっていました。
「元興寺文化財研究所」の方々が、火渡り秘供に参加した人達の足を清めてもらうためのお湯を用意してくれていました。この日の進行、警備や舞台の設置などで忙しく立ち働いていたのもこの人達です。普段は文化財の研究などをされているそうですが、そのうちのお一人に色々とお話を伺いました。ありがとうございました。
取材:Seika

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