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年中356日、宗派や伝統、地域によってさまざまな行事があります。呼び名もいろいろです。それらを知る事ができればと思うことがあります。また、暦に関連する雑学や宗教的な情報、雑学を知りたいと思っても意外と便利なソースがこれまではありませんでした。

書店等で販売されている「日めくりカレンダー」もありますが、神道や仏教に関連する情報についてはイロイロと書かれていますが、逆に現代的な情報に触れていなかったりします。雑学っぽいものも皆無ですしね。

そんな時にオススメなのが「日めくり」シリーズです。

このシリーズの凄いところは、iPhone／Android／Mac／Windowsといった多くの端末に対応していることと、毎日表示されるその「情報量」です。

一般のカレンダーには書かれている情報はもちろんのこと、「旧暦」「六曜」「七十二侯」「年中行事」「年月日の干支」「月の和名」「九星」「祝日」「旧暦行事」「ニ四節季」「二八宿」「十二直」「八専」「三隣亡」「ユリウス日」「通日」「月イメージ」「月齢」「誕生石／花」「著名人の誕生日」「格言」その他にも様々な情報を、更に知りたい場合はWeb検索やWikipediaも利用して表示してくれます。毎日表示される情報が数十種類以上で、まさに圧倒的の一言！

iOS版、Android版、Mac版、Windows版それぞれのアプリケーションとは別に、Mac Widget版、Windows Gadget版（小型アプリケーションですね）までもが用意されています。表示される情報は、使用するアプリによって異なり、iOS版、Mac版、Windwos版の情報量が特に多くなっています。

●日めくり2012 for iPhone

「日めくり2012」はiOS（iPhone）に対応した超多機能カレンダーアプリで、シリーズ中最多の50種以上の情報が表示されます。各機能ごとに順を追って紹介して参ります。

【日めくり】

上図を見ていただくとお分かり頂けると思いますが、一般的な日めくりカレンダー同様の項目はちゃんt押さえてあります。その上で、その日の旧暦、格言、誕生日、命日、日の出、日の入、月の満ち欠け、皇紀などの項目が所狭しと並んでいます。

面白いところは、日めくりの項目で表示される「二十八宿」「六曜」「十干」「十二支」「九星」「誕生花・石」「黄道十二星座」の項目をタップすると、端末上でその詳細情報や意味を見ることができるところです。

そのなかの幾つかを詳しく見ていきましょう。

「二十八宿（にじゅうはっしゅく）」
天球にある赤道を28分割したもの、またはその基準となる星のことです。星は大きい区分で「東方青龍」「北方玄武」「西方白虎」「南方朱雀」の4つの神獣に当てはめられ7つに別けられており、曜日や日、十二支との深いかかわりがありお寺・仏閣で作るカレンダーは二十八宿を記入しているものが多いです。

「六曜（ろくよう）」
市販カレンダーでもおなじみの「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つのことをいいます。各項目は冠婚葬祭や儀式との結びつきが強く、日本では六曜を重要視して結婚式などもこれに倣って執り行われています。

「十干（じっかん）」「干支（かんし・えと）」
「干支」は年賀状にも書く『十二支』で知られていますが、「十干」も干支に深い関わりがあります。2012年は「辰」の年ですが、本来は十干と干支は組み合わせて一緒に表示するのが正しく、2012年なら十干が「壬」干支が「辰」で、「壬辰（みずのえたつ）」となります。

「十干」…甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・揆の10種類
「干支」…子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種類

十干・干支は元来時間や日付といった数を表すものとして使われましたが、陰陽五行の思想と結びつき現在の形に、儀式と結びつきました。また、干支は年月日それぞれにあり、月の干支は12月が子から始まり11月の亥で十二支になります。日は年の干支と同様に十干と干支の組み合わせで表されます。もちろん日めくりシリーズはこの表記に対応しており画面上部にしっかりと表示されています。

例えば「庚（かのえ）」をタップすると読み方、訓・音読みや意味が表示され、そこには四柱推命などの占いで利用される五行陰陽などの表示もされるようになっています。

「九星」
陰陽道で利用された吉凶を占う基準として扱われています。一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫の9つで九星で、更に家相や土地を占う奇門遁甲（きもんとんこう）や人の生年月日から方位や五行を利用した占いに利用されています。

「年中行事」「旧暦行事」
一般的な「行事」「記念日」も日付の下に表示されており、タップする事で詳細を確認できます。下図左は2012年4月8日を指定したもの。行事部分を見てみると「復活祭」「花祭り」「灌仏会」も表示されています。

気になる項目はさらにタップする事で詳細確認が可能です。上図右は「潅仏会」の詳細を表示したものです。ちなみに「花祭り」「潅仏会」はお釈迦様の誕生日、「復活祭」はイエスキリストが3日目に復活した日とされています。なんか奇妙な一致ですね。この機能が結構な、小ネタであり雑学であります。話題作りにはもってこいではないでしょうか。

この他にも年中行事では「七日正月」「蘇民将来」「涅槃会」「旧正月」、旧暦行事では「小正月」「上巳」「端午」がコレにあたり、お寺の行事や四季の農作業などに密接に関連した事柄が登録されています。これらには地域の行事も含まれています。

「七十二候」
「立春」「春分」「立夏」などは季節を知らせる短文として、しばしばカレンダーで見かけます。これらは「七十二候（しちじゅうにこう）」と呼ばれています。アプリには「立春」としか記載はされないのですが、この言葉には「東風解凍」といった略本暦などもあり気象や動植物の季節ごとの変化を知らせるものとなっています。俳句の季語などにも利用されていますね。

上記はあくまでも表示される情報のほんの一部ですよ。

また、詳細情報は「Wikipedia」「Google」「Kotobank」か、アプリ内に保存されているものから表示されるようになっており、画面下部に表示されるボタンで検索エンジンを変更できるようになっています。

「予定」の項目では、iPhoneのカレンダーに登録した予定を表示させることもできます。また画面右上「＋」をタップする事で、アプリ上からでもイベントを登録できます。もちろんiPhoneカレンダーの機能がそのまま使えますので、アラームの設定なども可能です。

上図左は「誕生日」右は「命日」で、表示されている日に誕生・亡くなった有名人、著名人がピックアップ表示され「その人がどんな人なのか」「何年に生まれた/亡くなった人なのか」も一目でわかるようになっています。気になった著名人、有名人の名前をタップする事で詳細の確認が可能です。今回のピックアップ表示は「釈迦」と「博多華丸」の二人ですが、何故このチョイスなのかちょっと気になります（笑）。

上図左は「誕生花・石」右は「黄道十二星座」の詳細画面です。「誕生花・石」は366日全てにそれぞれ花や石があてられています。さらに花や石には言葉があり、送る花や石によって思いを伝える事ができます。プレゼント使えますね。占いをたしなむ方にもオススメです。「黄道十二星座」は、ヘビ使い座を抜いた12星座の事を言います。この十二星座は歴史も古く紀元前4世紀まで遡るといわれています。これは西洋占星術でのみ利用されます。

この他にも東京の日の出・日の入、最高・最低気温や、格言、でき事といった項目が1ページに表示されています。

【月間カレンダー】

月間カレンダーでは表示方法を上図の「標準」「暦」「月」の３つから選択して表示させることができます。自分で表示させたいものを選べるようになっており、日付をタップする事で「日めくり」に移動できます。

月間カレンダーが表示される下部分には日めくりの情報量に及ばないまでも、その月に関連する「月の名」「旬の花・魚・野菜・お菓子」「言葉」「気象」「誕生花・石」が表示されるようになっています。季節のものを使う調理師や俳句や詩を作る方にオススメの項目ですね。項目は全て詳細確認ができます。

※自分で決めた予定は表示されません。

【年間カレンダー】

年間カレンダーはその名の通り、12か月分のカレンダーを画面全てを使い表示させます。各月をタップする事で「年間→月間→日めくり」と移動することができます。また、平成、西暦、皇紀、昭和、大正、明治までの年数と干支の表示もあります。

天体

天体では、西暦、日付、時間、分を指定することで、観測地点（情報の項目で変更可能）からの星の位置や、月の満ち欠け、黄道十二星座を見ることができます。天体図の下には恒星・惑星・星座・星雲の名前表示のオン・オフ機能も搭載しています。この項目も占星術や西洋の占いに利用できそうです。

＜評価＞

iPhone版は日めくりシリーズ内でも表示される情報が多く、プライベートはもとより、幅広いお仕事に役立つレベルのアプリに仕上がっていると思います。何より、スマートフォンならではの場所や時間を選ばずに情報が見られることと、アプリが直感的に操作可能で、スマートフォンの扱いになれていない方でも十分に利用できるようになっていることが素晴らしいと思います。

●日めくり2012年版 for Android

「日めくり2012年版」はAndroid対応のアプリです。一見iOS版と変わりないようですが、日めくりに表示される情報が30種類以上と少なくなっています。

画面下部に「前日〜今日」「先月〜来月」のボタンが設置されており、iOS版よりも日めくりしやすくなっています。また液晶も端末によってですがiOS版よりも大きめのものが多いので、結果的に若干見やすいのもポイントかもしれません。

上図はアプリ起動時の画面です。

画面の回転にも対応しており、横画面にすると画面が「月間カレンダー」「日めくり」「時計・月齢」の3つの構成に別れるようになっています。ただし横になると、表示される文字も小さくなるので格言等は読みにくくなってしまいます。

iOS版とは違い、旧暦や格言、誕生花・石などをタップしても詳細説明へ遷移せず、意味などは一切表示されません。「日めくり」シリーズの中では、一般的な「日めくりカレンダー」に近い、シンプルアプリといった仕上がりです。

＜評価＞

やはり情報量や自由度から行けばiOS版の圧勝です。他のアプリ版「日めくり」シリーズを使っていたら確実に物足りないと思います。iOS版で便利なスケジュール表示もできません。とはいえ、Androidの中では最も優秀で情報量の多い日めくりカレンダーソフトには違いないでしょう。

●日めくり for Mac／日めくり for Windows

日めくり for Mac

「日めくり for Mac」では2000〜2020年までのカレンダーの表示が可能で、更に1日ごとにメモを書き残すことが可能です（独自のスケジュール機能）。日毎に表示される情報も100以上と豊富で、満潮・干潮、月食・日食時刻、星座宮、各地の最高・最低気温の平均値、初雪・初霜、花鳥開花初鳴、歳時記など書ききれないほどの情報が表示されます。Mac OS Xの単独アプリケーションとして動作します。

起動時のデスクトップ画面です。スケジュール書きにも使えるメモ機能は便利ですが、Widget版のようにiCal（Mac OS X標準のアプリケーション）との連携はありません。

通常のカレンダー操作部と月間カレンダー入力画面が分かれています。上図は通常のカレンダー操作部です。「今日」をクリックで日めくりを表示、「月間」で月間カレンダー表示、「年間」で年間カレンダー表示、「？」でこよみ用語説明表示、「★」で星座盤表示となっています。

上図左は月間カレンダーの入力画面、右は年間のカレンダーです。月間カレンダーでは日ごとの月の満ち欠けや各行事なども表示されます。なぜか2008R1と表示されていますが…開発時の消し忘れでしょうか？年間カレンダーは1年分の暦の一括表示です。

アプリ版はiPhone版と同様に星座図の表示も可能で、これはなかなか見応えのある機能です。時間指定で、その日その時間に見える星座や星の位置を表示してくれます。

こよみ用語説明も豊富で「干支六曜」「九星十二直」「二十八宿」「二四節気」「八専他」「日の出入」などが表示されます。このほかにもバグ情報も見ることができます。

日めくり for Windows

「日めくり for Windows」もMac版と同じく100種以上の情報表示やメモ機能を持っています。ウインドウや文字の形などOSに依存する部分以外はMac版と差異は見当たりません。

デスクトップに表示した状態です。

カレンダーの操作部。Mac版と同じく「今日」をクリックで日めくりを表示、「月間」で月間カレンダー表示、「年間」で年間カレンダー表示、「？」でこよみ用語説明表示、「★」で星座盤表示となっています。

月間と年間のカレンダー画面です。もちろんMac版といっしょ。

星座盤も完備です。ほかにも用語集もありますがMac版と同様のため省略します。

ただし、Windows版は更新情報を見る限り2010年で止まっており、各種データの追加や修正がされていない可能性がありますので注意が必要です（一応、2020年まで使えるような旨の説明がありますが）。

＜評価＞

いずれも情報量が圧倒的で便利なのですが、わざわざ起動させないといけないのが欠点といえば欠点です（起動も速いのですがiOS／Android版やWidget版と比べれば見劣りします）。OS起動時に自動起動するようにするなりの対策が必要ですね。

●日めくりWidget

「日めくりWidget」はMacで利用することができるWidget（Mac OS XのDashboadで使用可能）です。日毎に30種類以上の情報を表示することができ、ユーザーがiCalに追加した予定も表示させることができます。このiCal連動はWidget版の独自機能です。

上図がWidgetを配置したデスクトップ画面です。他のウインドウと比べて大きめですね。

Widgetの日めくり画面です。iCalのスケジュールが中程に表示されています。当日に予定があれば、「A社打ち合わせ」「B社に連絡」「C社に来社」のように表示されます（図左）、なければ「iCalに現時点以降の今日の予定はありません。」（図右）となります。

上記左図に連動しているiCalを見てみましょう。上記の予定が1月18日に入っていますね。これら予定を削除すると上記図右のようになります。

残念ながら、このWidget版では『日をめくること』ができず、当日分しか見ることができません。前後の日めくりが見たい場合は、以下で紹介するアプリ版が必要になります。これはちょっと惜しいですね。また、情報もWidget起動時に表示される以上の画面遷移もなく深堀りができませんので、アプリケーション版に大きく見劣りします。ちょこっと見るという目的なのでしょうけど、もう少しなんとかなればと思います。

＜評価＞

Widget版は動作が軽く、デスクトップ画面に表示するのに適しています。iCal連動も嬉しいところです。ですが情報の深堀りができませんし、「日めくり」なのに『日がめくれない』という致命的ともいえる不親切さがあります。なんだかんだといって通常アプリケーション版を使うほうが多くなるのではないかと思います。

●日めくりGadget

「日めくりGadget」はWindowsで利用することが出来るGadget（WindowsVista／7で使用可能）です。

Gadgetの日めくり画面です。サイズは、Macの日めくりWidgetと同じようです。

表示される情報に関しても日めくりWidget同様で、日時ごとの旧暦・六曜・七十二侯・年中行事など30種類以上を表示することが出来ます。ただ、情報は表示されるものの、画面遷移ができません。しかも、日めくりWigetに搭載されていたiCal連動の「予定表示」機能もありません。WindowsにはiCalが無いから致し方ないということでしょうか。

＜評価＞

Gadget版はパソコン起動時に表示でき、動作も軽いため情報を確認するだけであれば問題はありません。ただ、Widget同様に情報を深く見ることが出来ないこと、日めくりが出来ないため前後の日や情報が確認することが出来ないのは残念です。さらにはiCal等のスケジューラ連動機能が無いことが悔やまれます。

＜総評＞

やはり一番利用しやすいのは何時でも何処でも利用可能なiPhone版です。何より直感で操作できることと、気になった単語や行事は直ぐに調べられる事、スケジュールの追加などもアプリ上から可能で予定管理ができるのがポイントです。年中行事を行う宗教関係者の方や、それ以外の職業の方にも役立つ、オススメできるアプリだと思います。Wikipedia等との連携もMac／Windows版にはありません。追って若干機能は劣りますが、Android版もかなり有用なアプリだと思います。

この手の情報はモバイルで使う方が『ネタ』的にはいいように思えますが、パソコンでの利用であれば、iCal等他のアプリケーションとの連携を高めて欲しいと思います。残念ながら、「日めくり for Mac／Windows」とも外部アプリとの連携はできませんが、今後に期待したいと思います。とはいえ、情報量は圧倒的ですので、他のフリーウエアでは代替できそうもない内容です。唯一無二ということで当面独走ではないでしょうか。

逆にWidget版やGadget版はその存在も含め今後次第かなと思います。それでも、タダなので贅沢ばかりは言えませんけどね。

ご自分の利用環境に合わせて「日めくり」シリーズを利用してみてはいかがでしょうか？

記事執筆：ユーリ