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Report: 嚴正寺の水止舞に行ってきました

7月14日、690年ほど続く奇祭として知られる嚴正寺(ごんしょうじ)の水止舞(みずどめのまい)に行ってきました。水止舞は東京都の無形民俗文化財に指定されている、雨に関わる祭です。
嚴正寺は東京大田区の住宅街にある浄土真宗本願寺派の寺院です。山号は柳紅山。文永9年に法円上人により創建。法円上人は鎌倉幕府第六代執権北条長時の弟で、檀家は北条長時の一族郎党だったと伝えられています。そのためお寺と檀家の関係が密接であり、伝承が長い間途切れなかったのであろうと考えられています。
水止舞は、元亨元年(1321)武蔵国の大干ばつの際、住職第二世の法密上人が藁で龍神を作って7日間祈祷を行い、雨を降らせたことが起源といわれています(住職第六世の代に天台宗から浄土真宗に宗旨替えしたため、以降祈祷は行われていません)。
2年後には逆に長雨のために田畑が流出し、農民の中には2年前の雨乞い祈祷のせいだと恨む者さえいました。そのため法密上人は水止(しし)と名付けた獅子の仮面を作り農民に被らせて舞わせ、太鼓を叩かせ、法螺貝を吹かせて龍神に祈祷したとのことです。長雨は止み、その後、水止舞を奉納されるようになったそうです。
最寄の大森町駅から「道行(みちゆき)」と呼ばれる『雨乞い』の儀式の出発点となる大田区立東中学校の校門を目指しましたが、行事を案内する旗もポスターも看板もありませんでした。
水止舞のスケジュールはおよそ以下のとおり。
13:00 大田区立東中学校の校門前から道行(『雨乞い』の儀式)開始
13:30 寺の前に龍神(道行先頭)到着
13:40 龍神舞台へ上げられる
13:50 花籠2名と3匹の獅子による水止舞開始
14:30 後半の舞い手と交代
15:20 水止舞終了の後、観客が獅子面を被せてもらう
既に狭い路上には50~60人ほどの人だかりが…真ん中には何があるのでしょうか。

前に出ると、藁が見えました!

藁で編んで作られた龍神です!人垣の中から聞こえていた法螺貝の音は龍神(の中の人)が吹いていたのですね。

雌雄の龍神が持ち上げられ、数メートル先で再び路上に下ろされました。同時に水が威勢良くかけられます。龍神も見物の観客も容赦なく水浸しです。お寺の前まで延々と繰り返されるこの光景は雨乞い祈祷の名残りと考えられています。
要所要所で水汲み場が設けられています。沿道はお寺まで約150メートル。

必死で法螺貝を吹いています。びしょ濡れですね。水をかけるのは龍神を元気づけさせる雨の意味があるそうです。

当然、観客も取材陣もびしょ濡れです。逃げ場はありません。

こうして龍神が運ばれるのです。なんとコメントすれば良いやら。


ほんの少し進んではまたこうして法螺貝を吹き、水を浴びせられます。

龍神の中の人は大丈夫なのでしょうか?

道行の先頭は雌雄の龍神で、その後に牡丹が描かれた扇をかざし青竹で地面を叩きつける警固(けいご)、笛師連、ささらを鳴らす花籠、最後尾に水止舞の主役である3匹の獅子が続きます。
水を掛けられたい人は龍神の前に、掛けられたくない人は後ろにいるようにという声が聞こえてきました。しかし、どちらも濡れることを覚悟しておいた方が良さそうですヨ。
警固、笛師連、花籠が見えてきました。

花籠が五穀豊穣を意味するささらを鳴らしながら歩いてきました。妖しげですね。

こちらが舞の主役である獅子です。最後尾なので観客は少なめ。

「はい!」という合図で扇を上に上げます。帽子のおじさんが音頭をとっています。

最前列に戻ると相変わらず龍神が法螺貝を吹き、持ち上げられては移動を繰り返して水をかけられていました。




嚴正寺の前に着きました。雌雄の龍神が並べられて法螺貝を吹いています。法螺貝の音は龍の雄叫びとも言われています。


沿道は水浸し。


いよいよ境内へ。


境内でも水。みごとな撒きっぷりですね。

龍神の雄叫びが響きます。


舞台に上げられる龍神が暴れます。




藁の龍神が解かれ、法螺貝の鳴り響く中、舞台の周囲に置かれます。


手に持たれているのが藁の龍神の頭です。

花籠と獅子が舞台に上がりました。本殿前には横笛(篠笛)他お囃子の皆さんがスタンバっています。


水止舞が始まりました。

これが金の面の雌獅子(女水止)。他2匹は雄で、赤い面が雄獅子(大水止)、黒い面が若獅子(中水止)と呼ばれています。
水止舞の獅子は関東に多いという一人立ち三人一組の「三匹獅子舞」で、奉納笛と奉納唄に合わせて踊られます。内容は以下のとおり。
前半
1. 「雌獅子の舞(女水止舞)」
2. 「出羽の舞(出舞(大水止・若水止の舞))」初めての出会いが表現された舞
3. 「大若女・水止舞(トーヒャロ)」3匹が仲良く舞う
4. 「コホホーンの舞」この寺に施餓鬼あるとは夢しらず、おそく参れば後世のさわり(奉納唄)
後半
5. 「雌獅子かくしの舞」雌獅子を奪い合う
6. 仲良く三匹が踊る
舞台正面の左右に並べられた龍神の頭。雌雄どちらでしょうね?

境内に流れる解説では「日照り舞い」とも言っていました。



14日の深夜から早朝にかけて大雨が降りましたが、水止舞の日は不思議に晴れると言われており、本日も例にもれず空は青空です。

中央は赤い面の雄獅子(大水止)。

黒い面の若獅子(中水止)。

境内には解説の放送が流れていましたが、注意して聞いていないと聞き逃してしまいます。


後半は舞い手を交代したようです。「雌獅子かくしの舞」が始まりました。観客が減りましたね。

雌獅子を巡る大獅子と若獅子の睨み合い。

急に仲良しになったわけではありません。この後、着いてくるなと怒られて若獅子が追い出されます。

隙をうかがう若獅子と威嚇する大獅子。

落ち込む若獅子。

隙を突いてまんまと雌獅子の前に出た若獅子。嬉しさのあまり踊りまくります。

仲良く三匹で踊ります。


水止舞終わりの挨拶。後半の雌獅子は男性の舞い手に代わっていたようです。花籠と前半の雌獅子は女性が演じていました。


獅子の面を被せてもらうと頭痛が治るそうです。筆者もちゃっかり被せて貰いました。



舞台では参加者の締めの挨拶中。奥に見えるのが本堂です。

取材:熊谷風実花




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