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Report: 11月7日、東京にてダライ・ラマ14世の記者会見 1


ダライ・ラマ14世
11月7日に自由報道協会主催の「ダライ・ラマ法王14世 来日記者会見」が東京で行なわれました。司会は唐橋ユミ氏。

この記者会見は、法王が関西(大阪、高野山)および東日本大震災の被災地を訪問した後のものとなります。

会場
開始時間が大幅に遅れるというハプニングがあったものの無事に開催され、この様子はニコニコ動画とUstream(IWJ)で中継されました。

ダライ・ラマ14世
ダライ・ラマ「今日はこのような多くのメディアの皆様にお目にかかれたことを非常に嬉しく思っております。」

ダライ・ラマ「今回の訪日の目的ですが、高野山における法話もそうですが、もうひとつの大きな目的として、地震と津波に遭われました被災地を訪問させていただき、被災者の皆様の悲しみを共有したいと思いました。皆様と私の考えを共有させていただき、また、今度は前を向いて歩きましょうという話をさせていただきました。そして今こそ家を建て直し、街を復興するという決意をするときではないかという話をさせていただきました。」

ダライ・ラマ「こうやってメディアの皆さんにお目にかかるときには、常に私は、次の2つの点についてお話をしております。」

ダライ・ラマ「特に私が大切だと思っている事、まずひとつは、ヒューマンバリュー(人間の価値)ということです。私達はこのところ、様々な問題に直面しております。これは私達自身が作り出したものでもあります。こういった人的な問題というものをできるだけ軽減するには、セルフディシプリン(自己規律)、そして責任をもつということ、そして他を思いやるという気持ちが必要だと考えています。またこのヒューマンバリューには、私達が謙遜の心をもち、慈悲の心を持ち、愛情を持つということが大切だと思っています。」

ダライ・ラマ「そしてまた、他人のために尽くすという、そういった意思の力というものも大切と思っています。これは単に宗教的なものから起こるだけではなく、宗教がないところでも、人間の本質として、人間の質として元々あるものと思います。私達人間が生まれた時に、そこには既に人の愛がありますが、確かに宗教があればその力を強めてくれます。が、しかし宗教がないところでも、つまり世俗的なところにも倫理というものがあると思います。」

ダライ・ラマ「最初の私の話は皆様と同じ人間としての話でした。どういう宗教であろうと、あるいはお金持ちであろうと貧しかろうが、あるいはどういう国民であろうが、あるいはまた教育を受けていようがいまいが、私達は社会的動物としてこの世に存在しています。そこでは、慈悲の心をもった家族をつくり、社会を作って行くことが大切だと考えています。」

ダライ・ラマ「フラッシュが強いので…hahaha…私にも人権が(笑)」

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ダライ・ラマ「次に私が仏教徒としてです。地球上には多くの異なる宗教があります。そこにはそれに伴う哲学的な観点というものがあります。共通して云われていることは、愛であり、そして慈悲心であり、そしてまた、許しであり、そして自己規律であり、そして正直である事、信頼を持たれる人間になるということであります。」

ダライ・ラマ「確かにこの世界は、物質的にはかなり進んできました。しかし私達は人間として、やはり愛情や、寛容な心、そしてまた人を助けるという心が必要だと思います。そういった意味では、人の内なる価値というものが大切であり、そういうものを育てて行くことにより、より我々は豊かな世界に暮らすことができるのだと思います。」

ダライ・ラマ「そういった意味で私は、仏教徒として、宗教人として、宗教観での調和というものを、ひとつ掲げて大きなテーマとしております。どのような宗教であっても、その宗教そのものが持つものが共通しているわけですが、宗教の名の下で行なわれている様々な対立も目にすることがあります。カトリックやプロテスタントといった同じキリスト教の間でも対立がありますし、またイスラム教ではスンニーとシーアとの対立も見られます。」

ダライ・ラマ「なぜ私がこの二つの観点、決意について皆様にお話するかと云いますと、ここにお集りのメディアの方々は、とても大切な役割を担っていらっしゃるからです。人間の価値や、宗教における調和を進めて行く中で、確かに個人レベルでは、祈りや瞑想というものもあります。しかしこれが社会のレベルになれば、多くの方々を意識することが大切になってきます。そこで、メディアの方々が、この近代社会においても、これらの価値というものが共通に見られ、大切なものであることを、ぜひとも伝え広めていっていただきたい。個人レベル、家族レベル、地域のレベルでこういうものが大切なんだという意識を、皆様のお仕事であるメディアを通して、是非とも広めていただきたいと思うからです。」

ダライ・ラマ「このような現代社会、民主主義の社会においてメディアの方々は、大切な役割を果たしていらっしゃいます。特に現実を伝えるという、大きなお仕事をお持ちになっていらっしゃいます。ぜひとも皆様各々が、ゾウのように長い鼻を持って、各々の現実に対して、前からも後ろからも匂いを嗅いでください。私も含めてでありますが、現実がいったいどういうものなのか、ご自身で、しっかり認識していただいて、そしてそれを一般の方々にお伝えいただく、そういうことがとても大切だと思います。そして現代社会の我々の中にある腐敗や偽善といったものを、できるだけ排除する、あるいは軽減していくということに貢献されるべきではないかと思います。当然そのためには、やはり皆さんが、誠実でバイアスのかからない目で報道していただくことが大切です。」

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ダライ・ラマ「以前、私は、チベットにおける苦難に対しさまざまな責任を負っておりました。しかし今年の3月からは公的にも、政治的指導者の立場を降り、選挙によって選ばれた政治的指導者へとその主権を渡すことにしました。今はもう、政治的な指導者としての役割は、まったく持っておりませんので、普通の人であります。だからといって、ダライ・ラマを辞めたわけではあらず、未だにダライ・ラマであります。」

ダライ・ラマ「過去を振り返りますとダライ・ラマ1世から4世までは、宗教的指導者であって、政治的指導者の役割は一切果たしておりませんでした。ダライ・ラマ5世から現在に至るまでが、宗教的政治的両方の責任を負う事になったわけです。しかし私は、この過去400年の宗教的政治的両方の責任を果たすダライ・ラマの在位にあるときに、政治的な責任を降りるという、委譲という形を喜んで、私の意思として行なう事を決めました。」

ダライ・ラマ「日本もそうでありますが、私は民主主義というものは素晴らしいと思っております。当然、日本は民主主義のみならず、産業発展もしてきたわけでありますが、特にこの民主主義というものというのは、素晴らしいものであり、そしてチベットにおいても是非とも真の意味での民主主義というものを作り上げて行きたいと考えています。」

ダライ・ラマ「また日本においては、素晴らしい伝統が過去あったと聞いています。今も確かにあるのでしょうが、その中のひとつに、年長者を敬うという気持ちがありました。バスや電車を待つときも年長者を立ててお先にどうぞとか、席を譲ったりすることがあったという話です。最近薄らいでいるようですが、よい伝統というのは、是非ともまた思い出していただいて、伝えていただきたいと思っています。」

ダライ・ラマ「私は民主主義を本当に、たいへんに、評価しているのです。ですから完璧な民主主義体制を築きたいと思っています。そういう意味で私はもはや宗教政治の指導者ではないのです。」

つづく

OTSnews編集部

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