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Report: 11月7日、東京にてダライ・ラマ14世の記者会見 3
11月7日の自由報道協会主催「ダライ・ラマ法王14世 来日記者会見」の質疑応答の続きです。
ニュースエージェンシー記者Y氏「最近チベットにおきましては、僧侶の方々が焼身自殺をするということがありました。これは焼身自殺をしてまで何を達成しようとしているのでしょうか。法王がインドに出られて50年以上経ちますが、未だに抗議活動などが行なわれています。実際のところ、非暴力で今の状況が変えられるのでしょうか?」
ダライ・ラマ「非暴力についてですが、チベットの人間に対して、非暴力であるようにと話を続けています。中国共産党によってチベットが占領された、逆に解放したんだという人もいます。これはどちらにとるのか、皆さんご自身が、調査をして、何が現実なのかということを是非とも見ていただきたいと思います。ただ、私達はチベット人であり、中国人ではありません。私達はチベット語という言語を持っていますし、文化も宗教も持っています。」
ダライ・ラマ「私達は、意味のある自治を私達に持たせて欲しいと言っているだけなのです。中国の共産主義がさまざまなプロパガンダを行ないます。そして、今の状況になっているのですが…。実際にチベットを訪問される中国本土の方々も、ひどい状況になっていると理解してくれている、あるいは文化的ジェノサイドになっていると理解してくれています。」
ダライ・ラマ「確かに強硬派の人々が来て、チベットの状況を変えようとしています。ある意味では、準文化革命のような状況になりつつあるかと。悲しい出来事がチベット内で起こったということも、皆さんの目に触れているかと思います。だからこそ、皆さん自身がチベットへ行ってください。チベットに行って、何が現実なのかをくまなく見て、それを是非とも一般の方に知らしめていただきたい。わたしがどのようなコメントをしても中国に対してあまり意味のないことで、皆さん自身がそういうものを見て発表されるということが大切だと思います。日本の方々は中国人に似ていますので、『私は日本人です』と書いてチベットに入られたら良いと思います。今の状況をわかっていただきたいと思っています。」
ダライ・ラマ「中国の方々自身も厳しい状況に置かれています。中国は全体主義ですから、現実や本当のモノを報告することができません。官僚でも上の方が喜ぶようなことを報告してしまうという状況に置かれています。ヒポクラシーの犠牲者であると言えます。」
テレビ記者K氏「いろいろな問題を解決するために、世界の人々が精神性を上げて行ったりとか、まあ、仏教でいう悟りといったものを開く人が増えると世の中が良くなって行くのかなと考えているのですが、何かそういった悟りですとか、世の中の人達が精神性を上げて行くために、何か良い本とか教えがあれば教えていただきたいと思います。」
ダライ・ラマ「仏教的には、日本にも素晴らしい法典があります。法華経、華厳経、あるいは般若心経というものがありますので、勉強されてはいかがでしょうか。最初にまずは、怖れの心、心配する心を減らして行くことだと思います。そして社会において内なる価値を促進していくことです。それは教育を通して。」
ダライ・ラマ「そしてまた、日本にはすばらしい伝統があります。すばらしい価値観を持っています。是非とももう一度そういうものを学んでいただきたい、あるいは思い起こしてください。今回日本で大きな震災があり、津波や地震による被災者がたくさん出ました。しかし、既にそこには高いレベルの、スピリチュアルな協力活動があったと聞いています。震災後2日目に訪問した方からの話によりますと、被災者同士、あるいは政府の力を借りずに一般の方々が、被災地に赴き、協力活動をして助け合ったという話があります。そういうものがあればこそ、怖れや不安やあるいは、救いようがない気持ちというものを減らして行くことができるのだと思います。」
ダライ・ラマ「単に祈りや瞑想だけではなく、皆が現状に気付くということや、道徳観を持つといったことによって、状況がかなり改善されるのです。日本は第二次世界大戦後、戦後の灰の中から再建しました。今回はもっともっと、良い社会が皆さんにはお作りになれると思います。そういった自信を持っていただきたいと思います。宗教家、政治家、役人、ビジネスマン、教師など多くの方々が、それぞれの立場から、この状況に対して、よりよい社会を作って行くための責任を果たしていただきたいと思っています。」
IWJ代表I氏「日本はTPPという経済連携協定というものに入るということが政治的問題となっています。これは本質的にはアメリカを中心とした軍事的、経済的なブロック化であって、そこでは中国の脅威が、非常に強調されています。中国の脅威をチベットの現状を見ていると、これは現実のものであろうと、思うのですが、我々はアメリカの帝国主義にも中国の帝国主義にも与したくない。こうした巨大な帝国の隣に位置するチベットあるいは日本はどのようにして、民族の誇り、自治、主権、自立を維持していくことができるのか、お考えをお聞かせください。」
ダライ・ラマ「今の件にコメントするには、もう少し勉強させてください。」
フリー記者T氏「先日、石原都知事に会ったのですがこの機会にお会いしたいたいと言っていました。私の質問ですが、チベットは中国との間で長い間、大きな問題が存在していますが、今後のチベットと中国の関係をどう思われますか?また日本とそれらの国の関係ですが、日本、中国、チベット三国間の今後の関係の最良の形をどのように思われますでしょうか?」
ダライ・ラマ「だれも問題というものを好まないと思います。これに対しては、中国人の共産主義者の方々も同じだと思います。問題というのは、無知から作り出されたものであると仏教では言っています。仏陀も言っていますが、すべての問題というのは、我々の無知から生じるというものだということです。」
ダライ・ラマ「今13億人いると言われる中国の方々も、現実を知る権利を持っています。そしてそれを判断する権利も持っています。でも残念ながら多くの歪んだ情報が与えられており、それによって、中国というのは、非道徳的な状況に置かれてしまっています。中国自身が、そういう現状を知り得ない状況に置かれているため、皆が同じように苦難な日々を送っています。適切な法的システムが確立されれれば、彼らの状況はかなり変わって来ると思います。」
ダライ・ラマ「私はある日、中国人の方から、手紙をもらいました。北京に住む方だったのですが、ダライ・ラマ法王は、宗教的指導者としてあられるが、問題もあるという指摘だったのです。しかしこの方が、私が話をしている中道の道を聞かれた時にには、『もしこれが、中国人に知るところになれば、中国人は皆ダライ・ラマ法王のやり方を支持するであろう』と、言ってくださいました。北京に住むこの中国人の方々は、実際にそのようにおっしゃってくださったのです。」
ダライ・ラマ「1995年、天安門後、200人の中国人学生にハーバード大学で会いました。そしてまた20人の学者の方々、これは天安門の抗議に関わった方々だったのですが、このような方々にも会いました。そして中道について私の考えを話したところ、『もし中国の皆さんがこれを知る事があったら、中国の全員が法王を支持するだろう』と言われました。」
ダライ・ラマ「冗談話ですが、中国の強硬派の方々が、ある日私に対して『あなたは悪魔』だと言いました。その時は、イタリア人市長もいたりして、いろいろあったのですが、一種のマルキストみたいな形で言われました。中国のメディアではそれを取り上げて、私を悪魔だと呼んだ方もいらっしゃったときに、『私はツノが生えて怖いんだよ』というと、そのあと、そればかり流されてしまいました。まったく馬鹿な話です。」
ダライ・ラマ「人間の脳には良識という領域があるはずなのですが、どうもそういうものが欠けていらっしゃる方がおられるようです。中国の方々は一般的には文化もあり、よく働く勤勉な方々でありますが、しかし、そういった一面もあります。」
ダライ・ラマ「革命当時、30年、40年代、日本と中国が戦争をし、その当時は確かに戦争のために厳しい規律が、そしてコントロールが必要だったのかもしれません。戦後もなおかつ、未だに人々に対して厳しいコントロールを中国は続けています。歪んだ情報が人々に流れ、そして人々は怖れの中で生活をしているのです。そういった意味で、私は個人的に中国の政治家をどうこう言うつもりはないものの、そういう状況はなんとか改善出来ればと思っています。」
ダライ・ラマ「一つの例を申し上げますと、中国のメディアは第二次世界大戦でこういうことがあった、日本はあんなことをしたなど、繰り返し話をしています。そんなことをやって、日本と前向きな関係が作れるのでしょうか。やはり良識というものが大切だと思います。」
自由報道協会 上杉氏「通信メディアが自由に寄与するのでしょうか。」
ダライ・ラマ「特にインターネットを通したコミュニケーションというのは重要な役割を果たわけであり、閉鎖的な社会においては、まさにそうです。いま起こったことがすぐに出されるようになる、チベットで60年代、70年代に起こった状況がインドに届くまで1年、2年とかかりました。今は即座にわかるようになっています。役割は大きいと思います。」
以上、およそ全文でした。
OTSnews編集部